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賃貸管理システム比較。ITANDI、i-SPなど主要SaaSを選び方から整理

賃貸管理システムを比較するときは、最初に「どの製品が有名か」ではなく、「自社のどの業務を一つにつなげたいか」を決めるほうが失敗しにくくなります。結論から言うと、ITANDI、i-SP、いい生活賃貸管理クラウド、いえらぶCLOUD、ReDocSはそれぞれ強みが違い、向いている会社像も違います。仲介から管理まで一気通貫で見たい会社、管理業務を深くカスタマイズしたい会社、まずは低コストでExcel管理を卒業したい会社では、選ぶべきSaaSは変わります。

賃貸管理システム比較。ITANDI、i-SPなど主要SaaSを選び方から整理

賃貸管理システムを比較するときは、最初に「どの製品が有名か」ではなく、「自社のどの業務を一つにつなげたいか」を決めるほうが失敗しにくくなります。結論から言うと、ITANDI、i-SP、いい生活賃貸管理クラウド、いえらぶCLOUD、ReDocSはそれぞれ強みが違い、向いている会社像も違います。仲介から管理まで一気通貫で見たい会社、管理業務を深くカスタマイズしたい会社、まずは低コストでExcel管理を卒業したい会社では、選ぶべきSaaSは変わります。

また、賃貸管理の現場では、更新、解約、入出金、修繕、入居者対応、オーナー報告が同時に動きます。国土交通省の賃貸住宅管理業法ポータルサイトでも、管理業務には家賃等の金銭収受状況、維持保全の実施状況、入居者からの苦情の発生・対応状況などの報告が含まれる前提で整理されています。だからこそ、比較で見るべきなのは単機能の便利さではなく、日々の管理業務をどこまで切れ目なく扱えるかです。

この記事では、主要な賃貸管理業務効率化SaaSを公開情報ベースで整理しつつ、どの会社にどのタイプが合いやすいかを解説します。

賃貸管理システムは何で比較すべきか

賃貸管理システムの比較でよくある失敗は、機能一覧だけを見て決めることです。実際には、同じ「賃貸管理システム」でも重心が違います。比較の起点は、少なくとも次の4つに置いたほうが現実的です。

  1. どの業務範囲まで一つの基幹で持ちたいか
  2. 標準機能で回したいか、個社運用に合わせて作り込みたいか
  3. 仲介、オーナー対応、会計、入居者対応など周辺業務とどうつなぎたいか
  4. 初期費用と月額の考え方をどこまで公開情報で見極められるか

たとえば、仲介との連携まで重視する会社なら、募集から申込、契約、管理までのつながりが重要になります。一方で、すでに独自業務が固まっており、複雑な会計連携や個社要件が多い会社なら、カスタマイズ前提のシステムのほうが合うことがあります。

逆に、管理戸数がまだ大きくなく、紙やExcelから抜け出したい段階であれば、最初から重厚な基幹システムを入れるより、導入しやすいクラウド型から始めるほうが定着しやすいケースもあります。

主要な賃貸管理業務効率化SaaS 5選

ここでは、比較検討で名前が挙がりやすい5サービスを公開情報ベースで整理します。なお、非公開料金や導入効果の断定は避け、2026年4月7日時点で確認できた情報に絞っています。

サービス

主な特徴

向いている会社

料金公開度

ITANDI 賃貸管理

精算、物件、入居者、オーナー、修繕、点検までを一括管理。ITANDI周辺サービスとの連携が強い

仲介や申込、電子契約とのつながりも重視したい会社

要問い合わせ中心

i-SP

セミオーダー型。カスタマイズ性と外部連携が強い。大規模運用にも向く

個社運用が複雑で、標準機能だけでは足りない会社

要問い合わせ中心

いい生活賃貸管理クラウド

賃貸管理業務を一元管理。共通DBで他サービスと併用しやすい

クラウド型で周辺業務まで広げたい会社

一部公開あり

いえらぶCLOUD らくらく賃貸管理

管理、契約、入出金、家主向け機能まで広くカバー

仲介やリーシングも含めた一気通貫を見たい会社

要問い合わせ中心

ReDocS

低コストで始めやすいクラウド型。Excel卒業や小規模導入に向く

まずは管理業務の土台を整えたい会社

公開あり

ITANDI 賃貸管理

ITANDIは、賃貸管理業務における精算管理、物件管理、入居者管理、オーナー管理、修繕管理、点検管理を一括して効率化する方針を打ち出しています。2025年後半には、基幹システムセットの新機能として募集状況レポート機能の追加も公表しており、オーナー報告やデータ活用の強化に寄せていることが分かります。

特徴は、単体基幹というより、申込、電子契約、仲介側のITANDIサービス群とつながる前提で考えやすい点です。すでにITANDIの周辺機能を使っている、あるいは募集から管理までの流れをできるだけ分断したくない会社には相性があります。

一方で、公開情報だけでは料金の詳細までは読み切れません。比較検討時は、既存の募集導線や申込運用をどこまでITANDIに寄せるかまで含めて見る必要があります。

i-SP

i-SPは、ビジュアルリサーチが提供するセミオーダー型の賃貸管理システムです。公式ページでは、賃貸管理業務全体をカバーしつつ、会計ソフト、保険・保証サービス、入居者・オーナー向けサービスとの連動に強いことを打ち出しています。加えて、管理戸数ランキング上位200社の42.0%が利用、2026年3月時点で登録賃貸管理戸数525万戸以上、カスタマイズ件数3,850件以上といった実績表現が見られます。

このことから分かるのは、i-SPが「標準機能をそのまま使う軽量SaaS」というより、業務が複雑な管理会社の基幹として選ばれやすいタイプだということです。特に、既存業務に合わせた作り込み、会計や周辺サービス連携、支店や部署をまたいだ運用を重視する会社では検討候補に入りやすいでしょう。

ただし、セミオーダー型は自由度が高い一方で、要件整理が甘いと導入の重さが増えやすい面もあります。比較の段階で、何を標準化し、どこだけ個社対応が必要かを先に切り分けることが重要です。

いい生活賃貸管理クラウド

いい生活賃貸管理クラウドは、賃貸管理業務の一元管理、迅速な機能改善、外部システム連携、アカウント数無制限、万全のサポート体制を打ち出しているクラウド型サービスです。公式ページでは、空室募集と賃貸管理の業務を一つのシステムで完結できること、共通データベースにより他サービスと併用したときに業務全体の効率が上がることが訴求されています。

料金も一部公開されており、専任管理向けのプラン500で月額20,000円から、家賃管理タイプのプラン500で月額40,000円から、初期設定料金はそれぞれ300,000円から、500,000円からとなっています。比較の初期段階で費用感を把握しやすいのは利点です。

向いているのは、クラウド前提で、賃貸管理だけでなく周辺業務まで広げていきたい会社です。逆に、かなり特殊な個社運用が前提であれば、標準プロダクトにどこまで寄せられるかの見極めが必要になります。

いえらぶCLOUD らくらく賃貸管理

いえらぶCLOUDの賃貸管理システム「らくらく賃貸管理」は、確認作業や物件、関係者、契約情報の管理を効率化し、コア業務に時間を使えるようにすることを前面に出しています。公式ページでは、紙やExcelでのデータ探し、担当者しか進捗が分からない状態、契約や入金の管理負荷といった課題に対して、一元管理、社内共有、更新対象者の抽出と通知で改善する流れが整理されています。

機能面では、契約書作成、物件管理、関係者管理、収支報告書、契約更新・解約、クレーム管理、対応履歴、原状回復工事管理、退去時精算、会計システム連携、家主向けマイページまで広く触れています。仲介やリーシングとのつながりも視野に入れやすいため、客付け側との一体運用を重視する会社と相性があります。

一方で、料金の公開度は高くないため、比較段階では必要機能の範囲を整理して問い合わせる前提になります。

ReDocS

ReDocSは、クラウド型の賃貸管理ソフトとして、導入しやすさと価格の分かりやすさが強みです。公式サイトでは、導入社数累計1,400社超、30日間無料トライアル、ライトプラン月額2,980円、ミドルプラン月額6,980円、アドバンスプラン月額12,480円、初期登録料49,800円といった情報が公開されています。

機能面では、物件情報管理、契約者情報管理、家賃管理、入出金情報管理、クレーム・対応履歴管理、契約書類作成、オーナー精算明細書、更新案内書など、管理実務に必要な機能を一通り押さえています。さらに、入居者マイページやオーナーページ、ネットバンキング連携などのオプションもあります。

そのため、ReDocSは「まずExcel管理を脱却したい」「管理戸数はまだ大きくないが、契約、家賃、対応履歴をきちんとまとめたい」といった会社に向いています。反対に、仲介側の大規模な連携や個社ごとの複雑な運用要件が多い会社では、どこまで対応できるかを事前に見たほうが安全です。

自社に合うSaaSを選ぶための判断基準

製品比較を見たあとに、最終的な判断を分けるのは機能数よりも運用条件です。大きく分けると、次のように考えると整理しやすくなります。

仲介から管理まで一気通貫で見たいなら

募集、申込、契約、管理の流れをなるべく分断したくないなら、ITANDIやいえらぶCLOUDのように周辺業務との接続が見えやすいサービスが候補になりやすいです。特に、募集側と管理側の二重入力や情報の行き違いが課題なら、この軸は重要です。

複雑な業務や個社運用が多いなら

支店ごとに運用差がある、会計連携が重い、業務フローを作り込みたいという会社なら、i-SPのようなセミオーダー型が合いやすい可能性があります。ただし、自由度が高い分、要件定義を曖昧にしたまま進めると、導入が重くなりやすい点には注意が必要です。

クラウド型で標準化を進めたいなら

周辺サービスも含めてクラウドベースで運用をそろえたいなら、いい生活賃貸管理クラウドは有力です。料金の目安も一部見えるので、予算感を持って比較しやすいのも特徴です。

まずは低コストで基盤を整えたいなら

管理戸数がまだそこまで大きくなく、まずはExcelや紙管理から移行したい場合は、ReDocSのように価格が明確で始めやすいサービスが現実的です。システムの重さより、まず情報を一元化することを優先したい会社には向いています。

SaaS導入だけで業務効率化が完結しない理由

ここは比較記事で見落とされがちですが、SaaSを入れるだけで業務が整うわけではありません。実際に詰まりやすいのは、次のような論点です。

  • どの問い合わせを誰が受け、どこからシステムに記録するか
  • 更新、解約、修繕、滞納対応で例外処理をどう定義するか
  • オーナー報告や社内レポートをどの粒度で標準化するか
  • 既存の会計、電話、チャット、AI活用とどうつなぐか

例えば、基幹システムを入れても、入居者問い合わせが電話、メール、LINEで散らばったままだと、対応履歴は結局ばらつきます。入出金管理が整っても、消込後の報告書作成やオーナー説明が人ごとに違えば、業務品質は安定しません。

つまり、SaaS選定はあくまで土台づくりです。実際の差が出るのは、その土台に合わせて業務ルール、連携、AI活用、レポート運用をどう設計するかです。

まとめ

賃貸管理システムの比較では、製品名の知名度より自社がどこまでの業務を一つにつなげたいかを先に決めるほうが失敗しにくくなります。

ITANDIは周辺サービスとの連携を含めて一気通貫で考えやすく、i-SPは複雑な運用やカスタマイズに強く、いい生活賃貸管理クラウドはクラウド型で周辺拡張まで視野に入れやすく、いえらぶCLOUDは管理とリーシングのつながりを見やすく、ReDocSは低コストで導入しやすい立ち位置です。

ただし、本当に重要なのは比較表を埋めることではありません。更新、解約、入出金、修繕、問い合わせ、オーナー報告といった実務をどう標準化し、どこをSaaSに寄せ、どこを自社運用として残すかを整理することです。

システムの比較までは進んだものの、自社に必要な要件整理や運用設計で止まっているなら、そこで一度立ち止まって業務フローを見直したほうが、導入後の定着は進みやすくなります。

次に進むなら

比較検討まで進んだ段階で、次に詰まりやすいのは「どの業務を基幹に寄せ、どこを自社運用として残すか」の線引きです。運用フローと要件が決まると、SaaSの選定も導入後の定着も一気に進みます。

賃貸管理SaaSの導入前後で、業務範囲の整理と要件の棚卸しをしたい場合はField Xにご相談ください。更新、解約、入出金、問い合わせ、修繕、オーナー報告まで含めて、現場で回る運用設計を伴走します。

賃貸管理業務の要件整理を相談する

まずは賃貸管理AIの全体像から整理したい方はこちら。

賃貸管理会社のAI活用まとめ

よくある質問

賃貸管理システムはクラウド型が良いですか

必ずしもクラウド型が正解とは限りません。標準化しやすさ、導入のしやすさ、更新の速さを重視するならクラウド型が向きやすい一方で、複雑な個社運用やカスタマイズが多い場合は、セミオーダー型を含めて比較したほうが良いです。

SaaS導入だけで業務効率化は進みますか

進む部分はありますが、それだけでは不十分です。入力ルール、例外処理、問い合わせ導線、オーナー報告の運用が曖昧なままだと、システム導入後も属人化が残ります。

比較時に最初に確認すべき項目は何ですか

最初に確認したいのは、自社で一元管理したい業務範囲です。募集から契約、入出金、修繕、問い合わせ、報告までのどこを基幹で持ちたいかが決まると、候補はかなり絞りやすくなります。